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アリーヤは言う「年齢なんてただの数字」と〜 Age Ain’t Nothing But A Number

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 「ところで、何歳ですか?」

 はい、きた。

「ところで、いいお天気ですね」くらいのライトな世間話のつもりなのでしょう。でも、この質問に、私は毎回、笑顔で頭をフル回転。なんて答えようか毎回困ってしまうし、ベストな答えがいまだに見つかりません。「え、フツーに答えたらいいじゃん?」、「若くみられたいわけ?」と、バカにする方もいるかもしれません。が、決してそうではなくて。それ聞いて何になるの? 年齢の分、割り引きでもしてくれるの?、と。

別に自分の年齢を恥じているわけではないです(それなりに頑張って生きてきた自負もある)。若さを武器にしてきたタイプでもないですし。それでも、自分の年齢を数値化することに「窮屈さ」みたいなものを感じることがあります。・・・ありませんか?

仕事を持っている社会人として。それ以前に、一人の女として。人として。

私には、いろんな立場も、顔も、考えだってあるのに、「年齢」っていう枠や、そこから想像できるイメージに当てはめられがちで。一旦「年齢」というゼッケンをつけられ、そのゼッケンの通りに並ばなければならないことに違和感があるというか。あなた、30番だから30番目に並んでね、って。

 30過ぎたら、○○だから。○○しなきゃ。○○しないほうが。

 30過ぎてるわりに○○だね。

特に女性は、年齢に、結婚や子供が紐づきがち。それも手伝って、年を重ねれば重ねるほど、年齢を理由に制限されることが増えていく。気にしなきゃいいけど、そうもいかない。あぁ、どうしたらいいんだ。

そんな時、イヤフォンをいつも以上、耳にグリグリ深く突っ込んで聴くのは、Aaliyah(アリーヤ)の『Age Ain’t Nothing But A Number』。


・・・年齢なんて、ただの数字。

言わずと知れた、アリーヤの名曲。

同じ時期にMonica(モニカ)やBrandy(ブランディ)といったローティーンでデビューしたアーティストもいましたが、アリーヤは圧倒的に「年齢なんて数字」って言葉がしっくりくる存在でした。

最初にアリーヤの歌声を耳にしたときの衝撃といったら。繊細で、不安定さもあり、だからこそ色っぽく、有無を言わせない強さもある。「え、これ、15歳なの?嘘でしょ」、と。

でも、今思うと「15歳なのに、すごい」と言われることは、”Age Ain’t Nothing But A Number”と歌う彼女にとって、なんの褒め言葉でもない。…これは完全に私の想像ですが。「15歳じゃなきゃ、私は評価されないのかよ」って思ったんじゃないかな、なんて。彼女の場合、このアルバムのプロデューサーである、年の離れたR.Kelly(R・ケリー)に恋をしたことも、この言葉を主張したくなった要因の1つだとは思うんですが。だからこそ、年齢なんて意識して欲しくなかったはず。

しかし…ご存知の方も多いと思いますが、2001年、アリーヤはセスナ機の事故で残念ながら亡くなってしまいます。とはいえ、その後も映画が制作されたり、未発表曲がリリースされたり、サンプリングされまくったり、いまだに亡くなったのが信じられないくらい。

そんなアリーヤのAge Ain’t Nothing But A Numberを聴くたびに気づかされること。

人に年齢を聞かれるのが嫌…とかいう以前に、自分自身が一番、年齢という、たかが数字ごときに囚われていたんだと。「30過ぎたんだから、この服はちょっと奇抜すぎるかな」とか「大人だし、こんなことしたらダメかな」とか。誰に、何を言われたわけでもないのに。自分の考えや行動を制限しているのは、紛れもなく私自身。アリーヤのエイジレスな(←逆の意味で)歌声は、ブレまくった私の背中を押し、時にビンタを一発かましてくれるのです。

年齢なんて、ただの数字。

次に、誰かから年齢を聞かれたら「年齢なんてただの数字ですけど、興味ありますか?」と答えよう。そして、年齢なんてただの数字に囚われずに、自分勝手に生きていこうと、今は亡きアリーヤに誓うのでした。

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