Charity
船上で暮らすアジアの子供たち、それを目の当たりにした子供時代
私は幼少期に、香港で3年間を過ごしてきました。もうかれこれ40年以上も前の話です。日本ではまず見ることがないような貧富の差が目に見えて分かるのが、香港の街でした。
私は日本人学校に通い、セキュリティがしっかりとした高層マンションで暮らしていました。その頃の香港は、子供が1人で一歩も外に出られないほど治安が悪いところでした。
子供の遊び場となっていたのは、マンション内のガーデンフロアのみ。ガーデンフロアというと、日本なら道路と地続きになっているような公園を想像することでしょう。
香港では地続きとなった公園はなく、マンションの5階ほどのところに、アスファルトの巨大な公園やプールが設置されていて、必ず警備員さんがいる環境の中で子供たちは遊んでいました。この空間には子供ながらに違和感を覚えていましたが、隣のマンションの友だちの自宅にも気軽に道路を渡って行けないという状況にも違和感がありました。
街へ行くのにも、学校や幼稚園に行くのにも、常に運転手さんがマンションの下まで迎えにきてくれ、出かけていた私たち家族。乗っていた車やバスからは、船の上で生活している子供たちの姿が見えていました。
香港の船上生活はメディアなどでご覧になった方も多いかもしれませんが、実情はすさまじいものでした。子供の目から見ても、明らかに自分たちの生活との違いに愕然としました。
「あの子たちは学校に通っているのだろうか?」、「あの子たちは船の上でどんな気持ちで暮らしているのだろうか?」。
想像しても想像しきれない気持ちを、窓越しに見た子供たちに問いかけてみました。40年以上が経った今でも、思い出される瞬間があります。
40年前に見た子供たちは、今どうなっているのでしょうか?私は現在主婦となり、母となり、大人ピアノを楽しめる大人に育ちました。同じ地球上に生まれても、生まれる場所が違うだけで、こんなにも違う環境になってしまうという現状。40年経った今でも「恵まれないアジアの子供たち」の課題は残されてます。
私の子供たちが今まで学校で勉強してこられたのは、ありがたいことに日本の落ちついた環境があったからです。一方、アジアにはまだまだ教育を受ける機会すら与えられていない子供がたくさんいます。
未来を担う子供達が、教育を受けることすらできないのは悲しいことです。教育を受けられることを当たり前に感じている日本の子供たちにも、アジアには教育すら受けられない子供たちがたくさんいることを知ってもらいたいと思います。
当たり前のように学校に通い、過ごせている日常の幸せを感じてくださいね。