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100チャンネル以上が存在する台湾のテレビ事情

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いわゆる日本の「テレビ」といえば、在京民放5局(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)+NHKだが、台湾のテレビには100チャンネル以上が存在している。

この数字は、元来の民放3局(台視、中視、華視)に続き誕生した「第四台」と呼ばれるケーブルテレビが大多数を占めるもので、視聴には加入が必要だが、比較的料金も安価なため、多くの一般家庭やホテルなどの施設で契約されており、日本におけるケーブルテレビに比べ普及率が高い。


タイムラグなしで放送される海外番組

多言語社会である台湾では、中国語をはじめ、閩南語(びんなんご)、客家語(はっかご)、台湾諸語(たいわんしょご)などが飛び交っていることから、それらの言語で放送される専門チャンネルがあり、さらには英語や日本語など幅広い言語の専門チャンネルもある。また、ほぼ全ての番組において、吹き替え音声ではなく「中国語字幕」がついているため、台湾に駐在する外国人や旅行者は自国のテレビ番組を「母国語のまま」楽しむことができる。

かつての台湾では、国民党政権の支配下で「言論の自由」が制約されていたが、1988年に戒厳令が解除され、さらに1993年に地上波放送とケーブルテレビの全面自由化が実施されたことにより、台湾のメディア業界は急速に発展を遂げた。

ケーブルテレビでの放送内容は日本と同様に、ニュースやスポーツ、映画やドラマ、音楽、アニメ、バラエティーに至るまで多様性に富んだものだが、日本とは異なり、それらの多くは独立した専門チャンネルとなっており、24時間に渡って放送されているのが特徴的。

自国制作の番組を放送するチャンネルのほか、日本を含めた各国の映画やドラマ、バラエティー番組、NHKやBBC、CNNなどのニュース番組も軒並み放送されており、とりわけ日本の『ロンドンハーツ』や『ホンマでっか!?TV』といったバラエティー番組は台湾の若者の間でも人気のコンテンツとなっている。また、それらの番組の多くがほぼリアルタイムで放送されている。


視聴率の違い

チャンネル数だけではなく、日本と台湾では「視聴率」にも大きな違いが見られる。

平成以降の日本においての最高視聴率は、「紅白歌合戦」(1998年、NHK)の57.2%、サッカ-W杯日韓大会「日本 vs ロシア」(2002年、フジテレビ)の66.1%、ドラマ「半沢直樹」(2015年、TBS)の42.2%、ラグビーW杯日本大会「日本 vs 南アフリカ」(2019年、NHK)の41.6%、など、毎年、視聴者数全体の4割から6割にあたる高い数字を叩き出している。また、1日の中で最も視聴率が高いとされるプライムタイム(19時~23時)において、5%以下の低視聴率を記録した連続ドラマが、クールの途中で打ち切りになった例も少なくない。一方、チャンネル数の多い台湾においては視聴率が「1%」を達成すれば快挙と言われている。


再放送が全体の8割

台湾のテレビにおいては「再放送」が占める割合が大きいのも特徴的である。日本においての再放送が全体の3割ほどに止まっているのに対し、台湾では放送されている番組全体のおよそ8割が再放送と言われている。その理由としては「制作費不足」が最も大きく挙げられる。

日本のテレビ番組の制作費は、ゴールデンタイム(19時~22時)の人気バラエティー番組でおよそ1000万円から3000万円、プライムタイムのドラマでは1話につき2000万円~3000万円、NHKの大河ドラマともなると6000万円にものぼる。

一方の台湾では、人気番組であっても日本の1/10とも、それ以下とも言われている。

出演者・ディレクター・放送作家のギャラ、スタジオやロケ現場のセット費用、音楽・映像の編集費用、さらにはロケバスの使用料や衣装のリース費用などの全てが制作費によってまかなわれるため、制作費が少ないほどクオリティの高い番組の制作は難しい。台湾の番組ではスタジオのセットや映像表現なども簡素なものが多く、各番組の視聴率も低いことからスポンサーがつきづらいというのが現状。


インターネット利用時間は世界10位

広告会社のWe Are Socialとソーシャルメディア管理システムHootsuiteが全世界を対象に行った調査レポート「DIGITAL 2020」によると、台湾でのインターネット普及率は日本の92%よりも低い86%だが、1日におけるパソコン・タブレット・スマートフォンでのインターネット利用時間は日本の4時間22分を大きく上回る7時間57分となっている。とりわけスマートフォンの利用は多く、そのうち90%以上のユーザーが日常的にスマートフォンで動画の視聴をしている。また、日本と同様にYouTubeの人気は高く、ソーシャルメディアの中でも利用率が一番高いプラットフォームとなっている。


ライブ配信されるニュース番組

中天新聞台

YouTubeといえば、いまやYouTuberだけではなく各界の著名人も公式チャンネルを開設するなど年々多様化しているが、台湾にはテレビと同様にYouTubeでニュース番組をライブ配信をしている局が多数存在する。これらのニュース番組は24時間にわたりライブ配信されており、日本からの視聴も可能。

このようにインターネットでの動画視聴が主流となりつつある台湾。

100以上のチャンネル数が存在する台湾のテレビ事情も、時代とともに変化の兆しを見せている。

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