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【緊急インタビュー】『24時間ではしりぬける物理』小林 晋平准教授

United Code
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この度、United Code Limited presents(以後UC)でお送りする、理論物理学者 小林 晋平(東京学芸大学 自然科学系 物理科学分野 准教授)による学ぶ楽しさを伝える24時間連続講義、『24時間ではしりぬける物理』を東京学芸大学をお借りしてオンラインでの動画配信企画を行います。

日本中の物理学好きをはじめ、これまで物理に触れることのなかった人にまで幅広い反響をいただいております。

今回は皆さんに『24時間ではしりぬける物理』をもっと楽しんでいただくため、このような企画がなぜ生まれたのか?小林准教授とは一体どんな人物なのか?

その全貌へ迫りたいと思います!インタビュアーは私、UCの前田が担当、お送り致します。

東京学芸大学宇宙物理学研究室 
小林 晋平 (こばやし しんぺい)准教授
Shinpei Kobayashi,   Shimpei Kobayashi
理論物理学者
1974年長野県長野市生まれ。
京都大学理学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。
専門は宇宙物理学・素粒子物理学。
東京大学ビッグバン宇宙国際研究センター研究員,日本学術振興会海外特別研究員(カナダ・ウォータールー大学,ペリメーター理論物理学研究所),国立群馬工業高等専門学校准教授を経て,現在,東京学芸大学教育学部物理科学分野准教授。
(転載: Kobayashi Shinpei Website Profile
https://www.shimpeikobayashi-qg.jp/pages/3451999/page_201912171611



お忙しい中お時間いただきありがとうございます!
早速ですがインタビューの方はじめさせていただきます!


お願いします!


この度「24時間ではしりぬける物理」多くの方々から反響をいただいておりますが中には小林先生のことをご存知ない方もいらっしゃると思うので、まずは小林先生自身と小林先生の取り組みについていくつかお伺いさせていただきたいと思います! 


まず、簡単に自己紹介の方いただいてもよろしいでしょうか?


そうですね、僕は長野県の長野市生まれで18歳まで長野に住んでいて、浪人して京都に出てきました。

大学は京大の理学部です。そこで物理をやりだして博士号を取るところまで京大ですね。もともと宇宙の始まりとかブラックホールの中とかに興味を持っていて、京大に行こうと思ったのも物理をやるためです。

中学の時に同級生の好きな女の子がいたんですけど、その子のお父さんが信州大学の教授で、僕が物理やりたいって言ってるって話をその子がお父さんに話したら「物理なら京都に行け」って言ったらしいんですよね。

まあ、僕の好きな子がそう言ったんで、じゃあ京都だなって感じですね(笑)


そうだったんですね(笑)
青春の思い出ですね!ありがとうございます。


少年時代はどんな子供だったんですか?


小学校の時は密教とかに興味があったりして密教大辞典っていう本とかを図書館に発注したりとかしてましたね。


小学校の頃から密教?!


興味ありましたね。小学校5年生の時に長野県の県立図書館がリニューアルしたんですよ。最初は注文した本をなんでも入れてくれるって話だったので、密教大辞典っていう3万円くらいのすごいやつとかを注文してましたね。

納入されてみたらそれ辞書だから禁帯出で借りられないやつだったんですけどね(笑)なので図書館に通って読んでましたね。

そこに書いてある印の結び方とか覚えてましたからね(笑)
変な子どもでしたね僕は。

あと、とにかくお笑いが好きでした。お笑い芸人になるか物理学者になるかで本当に悩みましたね。毎日どうやったら笑いを取れるかってことだけ考えてました。


大学に入ってから物理学っていうところに興味を持ち始めたんですか?


はい。そうですね。物理のために大学に行った割にはあんまりわかってなくて、科学雑誌をちょっと読むくらいしかしたことがなかったです。真面目に勉強し始めてこれは面白いっていう風になったんですけど、大学のときは空手部で空手ばっかりやってて全然真面目に勉強してなかったんですよ。

なので大学 1・2回生の頃はまだ物理の面白さはよく分かってなかったですね。3回生になってから真面目にやり始めましたね。


何かきっかけはあったんですか?


膝を怪我して空手部をやめちゃったんですよ。やめた時にそもそも何しに大学入ったんだっけ?って初めて冷静になって(笑)、そしたら2年間ぐらい本当に全く勉強してなかったのでめちゃくちゃバカになってたんですよ。

まず字書いたら筆跡が自分の筆跡じゃないんですよ。(笑)問題も全く解けないし、難しい話が一つも読めないんですね。

それにすごい衝撃を覚えて、それから人間としてのリハビリが始まったというか。

大学入る前の頭の回転に戻るまでに結局2年くらいかかりましたね。大学院に入ってからは真剣にやりました。そんな中で、空手をやってた関係で武術家の甲野善紀先生という方と繋がることができたんですね。

甲野先生の周りにすごい人たちがいて、特にその中に一人森田真生さんという人がいるんですよ。森田さんは数学の研究者なんですが、独立研究者で、大学とかに所属しない研究者なんです。

まだ30代の若い方なんですけど、その人と話したりしてる中で「小林さんも外で話してみない?」って誘ってもらって、一般向けの講演会を一回やらしてもらったんです。

そのときに講演会を聞いていた方から「小林さんちょっと他でも喋らない?」と誘われて、外で講演するようになりました。それが今のような活動をするようになった直接のきっかけですね。そもそも知りたかったのは物理そのものじゃなくて宇宙の始まりとかに納得したかったって思いなんですよ。講演しているうちにそれを思い出した、というか。

僕は「宇宙ってこうやって始まったんだ」って自分の中で納得できたらもうそれでいいっていうところがあって、そのための手段は物理かもしれないし数学かもしれないし、もっと言うと全然違うスポーツとか武道だったのかもしれないですけど、僕の中で今のところ一番信用できるというか一番最速で辿りつけるマシーンが物理だなって思ったんですよね。


何かに導かれるようにして今の小林先生へと進んでいってますね。
教育者になろうと思ったきっかけはなんですか?


教育者になろうと思ってたわけではないんですけど、小学校1年生から3年生の低学年の時に担任してくれた先生がすごい先生だったんですね。めちゃくちゃ熱い先生で。僕、信州大学の教育学部の附属小なんですけど、そこは附属なので実験的な教育をやるんですよ。

教育の中でもエッジの効いたことをいろいろと試すんですけど、僕の担任の先生は音楽の先生で、その先生がクラスでオペレッタっていうオペラと劇を合わせたようなものを作ろうってことを思い立ったんですよ。

そのときに作ったのが、長野は蕎麦が名産なので蕎麦をテーマにして蕎麦を擬人化した童話のようなストーリーだったんです。そのストーリーを書いたり、そこに歌をつけて音楽をやったりするんですけど、その先生がすごい駄目出しをするんですよ。

夜8時くらいまで残されて。小学校1・2年生なのに泣きながらやったりしてて、今だったら許されないと思うんですけど、今から35・36年前のその当時でも無茶苦茶な話で(笑)。そのときその先生に教育の熱みたいなのを貰っちゃったんですよね。


なるほど。夜8時は小学校の居残りレベルではないですね(笑)

小林先生自身、物理学を学んで良かったなと思うことはありますか?


多分どの学問でも同じなんだろうなとは思うんですけど、一番は枠を外せるようになるというか、自分って自由なんだなっていうのを感じられるようになったことですかね。

物理って「前提を疑う」ようなことがすごく多いんですよ。例えばニュートン力学から相対性理論とか一般相対性理論を学んでいく中で僕らの常識がどんどん覆っていくんですよね。

今まで自分が常識だと思ってたことはすごく狭い範囲でしか成立しない常識であったというか、ローカルなルールに過ぎなかったみたいな。

目的のために何かしなきゃいけないとか、勉強って何かになるためにやるとかそういうのあるじゃないですか。資格の勉強って特にそうだと思いますけど、学校でもそういうタイプの勉強をほとんど教わるわけですよ。

基本的にほとんどの学生にとっては、定期テストで点を取れるかとか、卒業できるかとか、大学に受かるか受からないとか、勉強ってそれが最終目標だったりするじゃないですか。

だけど物理をやってみたらそもそも学問ってそういうものじゃなくて、やればやるほど枠がどんどん広がっていって、自分って勝手に自分のこと縛ってただけでほんとはそうじゃなかったんだなーっていう。それに気づいたというか、そういうところですね一番大きいのは。


自由になれるような学問であるってことですか?


ええ。
あとは物理やると「世界って本当に綺麗なんだな」って思えるんですよね。物理とか理科を学ぶことの意味の中に「自然を愛する心を育む」とかそういうのが指導要領にはあるんですけど、テスト勉強ばかりしてても自然を愛せないじゃないですか。

例えば運動保存則とか、何とか保存則みたいなものの背後には、対称性っていう「自然界の綺麗さ」みたいなものが実はあるんですよ。自然界が綺麗だからこそ法則が成り立つっていう。

この綺麗さと保存則って実は一対一のような関係にあって、だから物理法則の背後に自然は美しいっていうのはそもそもあるんだと。

そういうことを知っちゃうと確かに自然って綺麗なんだなって納得がいくので、放っておいても自然を愛せるというか、「うわっ、すげー!」っていう風に素直に思えるんですよね。

なんで美しいかの理由が分かるって言ったらいいんですかね。根拠を持って自然は美しいと言えるっていうところがすごくいいなって思いますね。


視覚的な意味での自然の綺麗さを実際の裏付けまで行えるということですよね。


そうですね。


その視点が変わるのはとても魅力的ですね。

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Entertainment

FooLiGANS 3rd.EP “NEW AGE” Digital Release

United Code

Member(L→R) Kad(Gt) Hiroki(Dr) RYOSK(Vo) $hin8o(Ba) Saku(Gt)

2022.12/21(Wed)FooLiGANSの4年ぶりとなる3rd. EP“NEW AGE” がDigital Releaseされる。
主にニューメタル、ハードコア、hiphopから影響を受けた楽曲が多く、圧巻なライブパフォーマンスに定評がある次世代のネオミクスチャーロックバンド。12月23日(金)には3rd. EP“NEW AGE”のRelease Partyが新宿アンチノックで行われる。彼らの新曲を掲げたライブ、もうすでに会場の熱気が伝わってくる程大いに盛り上がるであろう。そしてミクスチャーロックバンドには要注目バンドになっていくだろう。今後のFooLiGANSには目を離すことはできないはずだ。

 

2022.12/23(Fri)

@新宿ANTIKNOCK

FooLiGANS & ANTIKNOCK pre.

【FooL AROUND-FooLiGANS 3rd E.P “NEW AGE” release party-】

●ACT:FooLiGANS / MAKE MY DAY / SlyDoggy / HenLee / The Number Zero / WILDOGS

●OPEN17:30/START18:00

●ADV¥2,800+1D(¥600)/DOOR¥3,300+1D(¥600)

※前売各取置予約orプレイガイド[Livepocket]

https://t.livepocket.jp/e/fool_a

Twitter

https://mobile.twitter.com/fooligans_JPN

Instagram 

https://www.instagram.com/fooligans_official/

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80s,90sをイメージしたメロディのポップでエレクトロニックなコラボ Yun*chi+宝生久弥 / FEEL

United Code

2022年10月19日デジタルリリース

11月にデビュー10周年を迎え全国ツアーも開催するYun*chiと 15周年イヤー中のレーベルScapeRec,Tokyoを主宰する宝生久弥のコラボ! CoサウンドデザインにインドネシアのHMGNCのグラハディアが参加 10/22@下北沢ERAでYun*chi with HOJO HISAYA BANDのライヴも決定
作品概要

デビュー10周年記念のベストアルバムのリリースやワンマンツアーも決定した、ポップスとアニソンからクリエティ ブ・シーンまでを繋ぐシンガーYun*chiと、タイ、インドネシアの電子音楽アーティストとのコラボレーションから有 名企業のテーマ曲、CM曲や展覧会BGMを担当する電子音楽家 宝生久弥によるポップでエレクトロニックなコラボレー ション曲がリリース!ジャケット・アートワークは昨年Yun*chiとライヴでコラボレーションをし、近年のスケープ レック作品、イベントのアートワーク、デザインを担当するリキッドライト・アーティストKuriko Tsuchiyaが担当。


収録楽曲

1. FEEL (4:39)



Yun*chi (ユンチ) プロフィール

2012年11月のメジャーデビューミニアルバム「Yun*chi」が「ミュージッ ク・ ジャケット大賞2013」にて「大賞」を受賞。オリエンタルなルックスを活か し、JulieWataiの作品集「はーどうぇあ・がーるず」に被写体として参加、「ち んかめ」「ヤングキング」などモデルとしても活動している。2013年、2014年 とロンドンで開催された「HYPER JAPAN」、アメリカ・テキサスにて開催され た世界最大のビジネスとコンテンツの祭典「SXSW2016」への出演を始め、ミャ ンマー、ジャカルタ、NY、マレーシア、台湾など、世界のステージを魅了。 TV アニメ「ログ・ホライズン」エンディング・テーマやTVアニメ「うーさーのそ の日暮らし 夢幻編」主題歌も担当。アーティスト名についている 記号 「Asterisk」は「小さな星」という意味を持つ。


宝生久弥 / Hisaya Hojo プロフィール

岩手県盛岡市出身 電子音楽家・作曲家でDJ。電子音楽レーベルScapeRec,Tokyo主 宰。 代表作品に三菱地所『大手町カフェ』、東京ミレナリオ 『Snow Mail』、100万人のキャンドルナイ『candlescape』、 愛・地球博2005『地球回廊』等、数々の企業、団体のテーマ音 楽、BGM、音楽プロデュースを担当。音楽を担当した大手町カ フェがグッドデザイン賞の金賞を受賞。SnowMailが文化庁メ ディア芸術祭にて審査委員会推薦作品に選定。LIVE、DJも行って おりキャンドルナイト・イベント『夏至フェス@代々木公園野 外音楽堂』など数々のイベントに出演。

2019年音楽プロダクションUnited Code Limitedと業務提携。2020年にリリースしたNostal -Asia (2020Remaster)がiTunes Store エレクトロニック トップアルバム7位にランクイン。2022年HOJO HISAYA BAND として初のツアーを開催。音楽活動、創作活動の一貫したテーマは「生命力」。

アーティスト: Yun*chi+宝生久弥 (ユンチプラスホウジョウヒサヤ)
タイトル: FEEL (フィール)
配信日: 2022年10月19日(水)
形 態: デジタルリリース
仕 様: iTunes Store, Spotify, AppleMusic など各ダウンロード・サブスク配信サ イトでリリース。ダウンロード価 格: 255円

インタビュー、コメントなど出演に関するお問合せは
■お問い合わせ 合同会社スケープジャパン スケープレック東京
担当:吉田
TEL:090-9631-6904
E-MAIL: info@scaperec.com


2022.10.22(Sat) ScapeRec,Tokyo 15th Anniversary and HOJO HISAYA BAND with Hisomi-TNP Tour2022 “Skip It” Final @下北沢ERA

出演 :
HOJO HISAYA BAND with Hisomi-TNP
Yun*chi (with HOJO HISAYA BAND)
City Your City
Genius P.J’s
カクマクシャカ(沖縄)
TEACHI(沖縄)
Froito


Liquid Lighting VJ
Kuriko Tsuchiya

Live Painting
菊地寅祐(東京藝術大学)
安原トモ(武蔵野美術大学)


前売り3000円(+1Drink料金)
当日3500円(+1Drink料金)
学割前売り2000円(+1Drink料金)
OPEN:16:30 / START : 17:00
CLOSE : 22:00

前売りチケットはイープラスにて 発売中。
https://eplus.jp/sf/ detail/3722740001-P0030001

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人生に振り回されだしたら、Doubtmenのライブへ逃げ込め!! Doubtmen feat.まおせり、ワンマン公演レポート!!!!

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Doubtmenとは、プロデューサー・作詞家・映像作家として活動中のK.INOJOと、キーボディスト・サウンドプロデューサー・アレンジャーの青木庸和の2人によるテクノユニット。今年他界した音楽評論家の大伴良則も期待を寄せていたユニットだ。10月5日、Doubtmenは目黒ライブステーションを舞台にワンマン公演「Live Doubtmen vol.1」を開催。オープニングアクトに、アリス十番が登場。この日は、仮面女子の森下舞桜と涼邑芹による実験的音楽ユニットの”まおせり”を迎え、Doubtmen feat.まおせりという形で演奏を行なった。
Doubtmen Doubtmenとは、プロデューサー・作詞家・映像作家として活動中のK.INOJOと、キーボディスト・サウンドプロデューサー・アレンジャーの青木庸和の2人によるテクノユニット。今年他界した音楽評論家の大伴良則も期待を寄せていたユニットだ。10月5日、Doubtmenは目黒ライブステーションを舞台にワンマン公演「Live Doubtmen vol.1」を開催。オープニングアクトに、アリス十番が登場。この日は、仮面女子の森下舞桜と涼邑芹による実験的音楽ユニットの”まおせり”を迎え、Doubtmen feat.まおせりという形で演奏を行なった。

オープニングを飾ったのが、歌謡メタル×ダンスロック・スタイルを軸に据えたアイドルグループ:仮面女子のアリス十番。彼女たちが場内を温めたうえで、ライブはDoubtmenへバトンを繫いだ。

Doubtmenのライブは、青木庸和によるエレピの演奏から幕を開けた。残響しながら浮遊する音色へK.INOJOがサンプラーを用い、音を重ねたす。学校のチャイムの音を合図に、ライブは様々な電子音をコラージュしながら、次第に音楽という形を成してゆく。あらかじめ構築した音の地図へ、2人が様々な音の色を塗り重ねる。テクノ/エレクトロ。確かに、そうだろう。むしろ、2人がいろんな隠し持った音を先出しジャンケンのように地図の上へ次々と広げながら、どんな音の景色が出来上がるかを楽しんでいるようだ。

Doubtmenの演奏へ導かれ、サイバーラビット・コスチュームに身を包んだ森下舞桜と涼邑芹が舞台へ姿を現した。2人は『いつまでもわたしとあなたはここにいる』を通し、韻を踏んだ文節を次々と並べ、人の本能を揶揄するように言葉を連ねだす。2人は口にしていた、「君はズルイね」と。でも、一番ズルイのはDoubtmenだ。まおせりを語り部に、舞台の上に広げた音の地図をフロア中にまで広げ、その地図の上に観客たちを招き入れた。いや、満員の観客たちまでも、2人の描く地図を彩る大切な文様へと変えていた。

森下舞桜と涼邑芹の口ずさむ「Tik-Tak」の言葉とリズムがシンクロ。メンバーらがクラップを求めるのに合わせ、クラップも同期しながらリズムは大きく躍動。楽曲が広大な景観を描くのに合わせ、Doubtmenはこの空間を現実から解き放ち、時間や意識を歪ませる幻想的な異世界へと塗り替える。森下舞桜と涼邑芹が呪文のように「Tik-Tak」と呟き、社会的概念や人の考え方を揶揄した皮肉満載のリリックを大きく手を振りながら投げかける。そのたびにフロア中の人たちも、4人のかけた魔法へ操られるように大きく手を振り、腰を揺らす四つ打ちのリズムに身を重ね合っていた。「Tik-Tak Tik-Tak」の言葉と躍動したエレクトロな音が、感覚を歪ませる。

心地好く気持ちや身体を弾ませる『ごめんね』は、Doubtmen流のパーティーチューン。スタイリッシュでアーバンなダンスミュージックの上で、まおせりの2人が浮遊感を持った声で、この空間をお洒落な都会の夜へと彩りだす。オートチューンを用いた2人の声が、いろんな「好き」をシニカルに表現した言葉の数々を、都会の街中へ電光のように降らしながら軽やかに舞い踊っていた。

それまで華やかに彩っていた空間へ闇を注ぎ込むように、Doubtmenは『タイヘンタイヘン』と歌いだす。現代社会に渦巻く、人として在るための正論と矛盾を、K.INOJOが韻を踏みながら…いや、しゃれた駄洒落に変え、薄汚れた現代社会へ、歌声の絵筆で強烈な風刺の詩を書き連ねていった。

まさに、今の気分は『ごめん、ちょっと何言ってるかわからない』だ。この曲でDoubtmenは、人が持つ本能を赤裸々にさらけ出す。フロア中に響く、恋愛や宗教などへ盲目的に溺れる世の女性たちが、本能のまま、感情的なままに剥きだした汚い本音の独り言の数々。優男になったK.INOJOは一人一人の言葉を受け止めたうえで、最後に「ごめん、ちょっと何言ってるかわからない」と言葉を返していた。心地好いダンス音楽に乗せ、Doubtmenは、人が心に抱えもつ汚らしい欲望をこの曲に映し出していた。中に出てきた、菅元総理や小池都知事が声だかに叫んだ緊急事態宣言の文言にさえ、K.INOJOは「ごめん、ちょっと何言ってるかわからない」と皮肉を述べていた。さすが、世間を嘗めたふりして、世の中が本当に必要な言葉を突き刺すDoubtmenらしいアジテートだ。

『キーラーゴの蜂蜜』からは、ふたたびまおせりが登場。Doubtmenは、可愛いアイドルたちのスウィートボイスをバカンスの風に変え、心地好く跳ねたエクレトロな南国ラテンのビートを通し、観客たちの身体を揺らしだす。まるで楽園を舞台にした快楽と恍惚の小説のような歌だ。でも、その中に隠した痛い刺激をチクッと刺してゆくのがDoubtmenらしいスタイル。今はただ、南国の歌姫たちの声に合わせ、頭を空にしながら心地好くステップを踏みながら浮かれればいい。その快楽の背景に何が潜んでいようとも…。浮かれ騒ぐのも、現実から逃避するのも、人が求める本能。「さぁ、踊ろう!!」。

これまで以上にきらびやかな音がフロア中を駆けめぐる。Doubtmenは『自業自得』を通し、この空間をグリッターな世界へ染め上げた。軽やかに舞い踊りながら、「自業自得じゃない?」と甘い言葉を突き刺す森下舞桜と涼邑芹。この日のように、可愛い女性たちにひょいひょい腰を振ることで、その先に何が起きるのか…。甘い欲望に手を伸ばした先に何が起きようと、それも欲に溺れた人の自業自得。人のせいにしてみずからを守る、人の腐った高慢ちきで自己欺瞞な連中たちの落ちた先の人生を、Doubtmenとまおせりは、「時効理想だよね」と皮肉っていた。それでも欲に溺れた人は、どぶ水を飲んでも反省をすることはない。そしてまた、ド壺(ツボ)に陥る。まさに「時効自得じゃない」か。

さらにビートとリズムは躍動する。森下舞桜と涼邑芹の煽りに合わせ、フロア中に生まれた熱いクラップ。Doubtmenは『そのボタンは押さない方がいい』を通し、簡単に誘惑のボタンを押すなとメッセージしてきた。でも、そのボタンを押す愚かさこそが、人間らしさ。躍動するきらびやかな音の装飾を通し、Doubtmenの2人は感覚を目くらます。その計画を遂行するように、まおせりが「ねぇ、ボタン押さないほうがいい」と歌いながらも、ここにいる人たちの心のボタンを本能のままに押させる。そんな確信犯たちが、そこにはいた。

判断は間違ってはいけない。その先に待っているのは、奈落か、快楽か。最後に、Doubtmenは『間違うな』を演奏。まおせりの2人が大きなフラッグを振りながら「なぜ君は楽しんでるの~わからない」と歌いだす。森下舞桜が、涼邑芹が、ここでもいろんな事例を並べながら「間違うな、後悔するに決まってる」と、欲望と本能に溺れる”君”に、警告してゆく。世の中を動かすいろんなお騒がせ人(政治家や芸能人ら)が、屁理屈めいた理論で武装しながら言葉の弾丸を次々と打ち放つ。その言葉の弾丸をハートに何発くらおうが、君はけっして間違うなとDoubtmenは伝えてきた。君に確かな信念があるなら、世の中を歪ませる言葉の弾丸を打つ連中の言葉などに惑わされるこくなく、自分の道を貫けばいい。そう、自分を間違うな。

アンコールの最初に持ってきたのが、人を構築する細胞(染色体)をタイトルに冠した『DNA』。意識を混濁する破壊衝動の高いエレクトロな音に乗せ、Doubtmenはふたたびまおせりをパートナーに、ハードボイルドなストーリーを描き出す。森下舞桜と涼邑芹が言葉を殴りあうように交わしながら、人の心に刻まれた本能を構築。「すべては決まっている 誰もそれには逆らえない それはD.N,A」と伝えていた。Doubtmenのライブは、1曲1曲触れるたびに自分の今の生き方を、人としてあるべき衿を正した生き方とは何かを考えさられる。でも、その時点で、Doubtmenの策略に落ちていたということだろうか…。

最後に、アリス十番をステージへ呼び込み、全員で『こんなはずじゃなかったのよ』を披露。この日のセットリストは、人の生きざまをいろんな角度から、皮肉を重ねるように進んでいた。最後もフロア中の人たちがメンバーらの動きに合わせ大きく手を振り、身体を揺らしていた。日々、生きていく中で、きっと誰もが「こんなはずじゃなかったのよ」と思うときがあるだろう。そこで落ち込むくらいならDoubtmenの音楽やライブに触れ、自分の心を解き放つ理想郷へ逃げ込めばいい。Doubtmenは、どんな心の色の人たちも受け入れてくれる。ただし、その人の人生のその後は…「こんなはずじゃなかったのよ」と漏らす汚い言葉の後始末は、自分で流してくれ。

Doubtmenとまおせりは、演奏を重ねるごとに、人の本能を次々と浮き彫りにしていった。そのたびに、人工着色料まみれの毒々しい自分の素顔とも向き合っている気分だった。そんなことを書いてるが、ライブ中は、Doubtmenが生み出すエレクトロなダンスミュージックに心地好く身を預け、風刺の効いたまおせりの言葉を耳にしながら、そんな糞みたいな連中にアディオスと手を振っていた。もしかしたら、自分が手を振られていたのかも知れないが…。よく「細かい理屈など気にせず楽しめ」と言うが、Doubtmenの音楽は「細かい理屈や屁理屈まで気にして楽しんでこそ」。心塞ぐ奴らは勝手に塞げばいい。何事も、そう。心を自由するスイッチを押すのは、自分次第。それを、この日のDoubtmenは、さりげなく囁いていた。

次回は、12月15日。舞台は、ふたたび目黒ライブステーションだ。詳細は…。

photo by T.ENAMI

TEXT:長澤智典

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