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メロウな気分になりたいなら、Sunset Rollercoasterを聴けばいいじゃない。

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アーバンでメロウ、ロマンチックでなんだか懐かしい。そんな音楽を聴きたい時があなたにもあるだろう。それは電車が地下へと潜り込んだその瞬間だったり、日が傾きかけた刹那であったりさまざまかもしれない。そんな時におすすめなのが、Sunset Rollercoaster(落日飛車)だ。

AORのようなきらめきと懐かしさ。一瞬で心を奪われた人も多いのではないだろうか。

Sunset Rollercoasterは、台湾で結成された6人組バンド。昨年には「FUJI ROCK FESTIVAL’19」への出演も果たし、今年のはじめには、Shibuya CLUB QUATTROでの単独ライブの成功を収めている。早耳なリスナーたちの中では、すでに多くの人に知られているかもしれない。

今となってはシティポップ好きを虜にするようなサウンドが特徴だが、彼ららしいサウンドの確立までには、実は長い月日が費やされている。

「Bomb of Love」は、2011年にリリースされた1stアルバム『Bossa Nova』に収められている一曲だ。この心地よいヴィンテージ感は、今の彼らのサウンドとまったく異なると言っていいだろう。今のサウンドが夕暮れ時であるならば、この頃のサウンドは昼下がり。心地よさの質が違うのである。

当時まだ3ピースバンドであった彼らは、「SUMMER SONIC 2011」への出演も果たし、日本でもブレークするかもしれないと噂されていた。しかしその直後、突然の活動休止を発表したのである。

5年の活動休止期間を経たのち、新たにリリースされたEPが『JINJI KIKKO』だ。

収録曲「My Jinji」を聴けば分かるように、『Bossa Nova』の頃のヴィンテージ感は完全に削がれている。ネオンの光にも似たきらめきに、泳ぐようなメロディーライン。ここにきて大幅にAOR感が増し、若き日のファンクさも5年の月日のなかで身を潜めた。ある種の決意表明にも思える作品である。

『JINJI KIKKO』からおよそ2年後にリリースされたのが、成熟したサウンドをぎゅっと凝縮したアルバム、『CASSA NOVA』だ。

リード曲である「SLOW」をはじめ、一層洗練された曲の数々が収められた『CASSA NOVA』は、『JINJI KIKKO』における方向転換がベストアンサーであったことを裏付けている。よりポップに、よりアーバンに、よりサイケに、そしてよりロマンチックな世界を彼らは築き上げたのである。

そして昨年にリリースされたのが、新作EP『VANILLA VILLA』だ。「ついにここまできたか」と思わせるようなこの作品は、ミュージックビデオの世界観も申し分なし。痒いところに手が届くバンド、と言ってしまうと語弊が生じてしまうかもしれないが、「こんなサウンドにうっとり浸りたい」というささやかな願いに、どんぴしゃで答えてくれるようなバンドではないだろうか。それくらい心地よいのである。

アジアのインディ音楽において、確かな爪痕を残し続けているSunset Rollercoaster。メロウな気分に身を委ねたい、そんなあなたは聴いてみてはいかがだろうか。

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