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バンドマンと付き合うオンナは本当にヤバイのか?

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「俺、いつか絶対フェスに呼ばれてビッグになるから、それまで待っていてくれ」

不覚にも夢追い人を好きになってしまったオンナは、いつまで待てばいいのかわからない“ 無理ゲー ”に巻き込まれ、突如として悲劇のヒロインになる。

付き合っちゃいけないオトコの職業「3B」のひとつに、美容師・バーテンダーと並んでバンドマンがある。バンドマンと付き合った瞬間から、オンナの周りはざわつきだす。

「バンドマンなんか将来ないんだから絶対やめときなさい」と親は本気で心配するだろうし、「いいじゃん!夢があるなんてステキじゃん(私は絶対いやだけど)」と友達にもあっさりマウントをとられるだろう。

20代ならまだいい。これが30代・40代にもなると、不確実なゴールを提示されることで結婚や出産までもが不確実になる。受け入れる=不確実を許容することになるので、家庭を夢見るオンナからするとそのリスクはでかい。

なぜ数多ある選択肢のなかで、自らリスキーな相手を選ぶのか?それはバンド活動をライフワークにしようと奮闘する彼を、ひたむきに応援するオンナにしか得られない快感があるからだ。

「バンドの音楽性が好み」とか「ライブに行って優越感に浸りたい」とか、単純な理由もあるのかもしれない。

ただ最たる理由は、「仕事に対する哲学に共感・尊敬できる」ことにあるのではないだろうか。

お金の稼ぎ方には「必要」か「嗜好品」の2つしかない。「必要」は主に消耗品で、ユーザーが欲しいときに最も早く最も便利な方法でモノやコトを売る。それに対して「嗜好品」は、刺さるユーザーにしか刺さらないが一度ハマると欲しくないときがないので、たとえ価格が上がっても売れる。

音楽やアートは「嗜好品」の上で成り立つ市場なので、他と競争をするものではなく多様性がすんなりと受け入れられる。アーティスト思考の人は「嗜好品」の市場で戦うしかない。

それでいうとバンドマンは、たった一回のライブで人の心を震わせて離さないエモさもあり、うまくいけば付加価値をいくらでも乗せられる、まさに夢のような仕事だ。

バンドマンと付き合うオンナは活動内容を一番近くで見ているはずだから、夢物語で終わりそうなのか夢を実現できそうなのかを判断したうえで、納得してそばにいることを選んでいるのではないだろうか。

いい大学を卒業して日本のトップ企業に勤めるオトコと結婚して、子どもができたら年に1回は海外旅行に行きたいオンナは絶対に選ばない相手であることには違いない。しかし個の力が主体になっていく世の中の動きで、これまでのいわゆる「優良物件」は地盤が揺らぎだしている。

「バンドマンと付き合うとかヤバイ(笑)」と言っている人が、実は一番ヤバイのかもしれない。

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