<Musician’s Question>ではアーティストが活動する上での疑問や問題、音楽業界に関しての知られざるさまざまな情報を発信します。
第1回のテーマは、新宿駅西口前や渋谷スクランブル交差点付近などでよく見かける「ストリートライブ」です。
<目次>
1.ストリートライブとは
2.法律関係について
3.権利関係について
4.必要機材
1 . ストリートライブとは
街中で行われている弾き方りやボーカルパフォーマンスを目にした方も多いのではないでしょうか。
路上ライブまたは、ストリートライブ (street live) は、大道芸のひとつで、歩道や公園などの屋外で音楽を演奏すること。ストリートライブの演奏者をストリートミュージシャンと呼び、演奏者のうち、歌唱を行う者をストリートシンガーと呼ぶ。
漫才やコント、ダンスパフォーマンス、アートパフォーマンスなどを実演することについてもストリートライブと呼ぶことがある。また、音楽演奏のみではなく、演奏の前後や合間に音楽演奏以外のパフォーマンスを行う場合もある。
by wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B7%AF%E4%B8%8A%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96
要約すると「路上や屋外スペースでのパフォーマンス」のことですね。今回は弾き方りやバンドセット、シンガーのパフォーマンスについてご紹介します。
『メリット』
昨今、サブスクやライブ配信、SNSでの動画配信の普及によりさまざまな手法でパフォーマンスを公開できるようになっています。
そんな中でもストリートライブのメリットは、オーディエンスと直接触れ合うことができ、ライブという体験を安価で提供できるという点です。また、アーティストとして人前でのパフォーマンスに慣れることができるという点もメリットとなります。
2 . 法律関係について
基本的に公共の場(路上・駅の構内・公園 など)では、無許可でライブを行うことができません。では、どこから許可をもらうのかというと、その場所を管理している国や自治体です。申請は管轄の警察に対して提出することになるのですが、基本的には許可が下りづらいのが現状のようです。
では、ストリートライブを行いたい場合はどうすればいいのでしょうか。
この項目では、主な2つの方法について触れていきたいと思います。
1.登録や認定をもらい指定の場所でパフォーマンスを行う。
東京都内や都内近郊では、指定の場所で行われている事業・制度に登録し認定をもらうことでストリートライブが可能になります。以下では都内や都内近郊で、登録・パフォーマンスが可能な場所をご紹介します。
・井の頭公園「アートキャスト」
井の頭公園では、2007年から「井の頭公園アートマーケッツ」という事業がスタートしており、“アートキャスト”として登録すると、アートの一環としてストリートライブが可能になります。
毎年12月に行われる審査に通過しなければならない点や、年間登録料の12,000円が必要な点などのハードルはありますが、応募者も多く人気のスポットとなっています。
公式ページ
https://inokashira-artmrt.jp/
・錦糸町 「すみだライブストリート」
墨田区には文化の促進や街の活性化を目的とした事業があります。どこでも可能というわけではありませんが、企画に賛同している商店街や公共施設などでライブが可能となっています。216円/1ヶ月 (12ヶ月分先払い)のシステム料金や、音源や動画での審査を通過する必要もありますが、登録さえできてしまえば、都合の良い日時をネットで予約してパフォーマンスを行えるようになります。
公式ページ
https://sumidalive.com/
・柏駅 「音街かしわ」
千葉県の柏駅周辺では音街かしわ部会という団体が、地域活性化を目的とした取り組みで音楽イベントの企画運営を行なっています。また2015年からは、柏市のストリートミュージシャンの認定制度も担っており、ストリートミュージシャンのサポートもしています。
こちらも審査があり、登録料540円がかかりますが、幅広い年代やジャンルの人達がアーティスト登録しているので、交流や情報交換の場としてもおすすめです。
公式ページ
https://otomachikashiwa.wixsite.com/home
・東京都「ヘブンアーティスト事業」
これまでにご紹介した、地域に根付いたものとは別に、東京都が実施しているヘブンアーティスト事業というものがあります。審査に合格したアーティストに都内54施設・72カ所を活動場所として開放している事業です。2002年にスタートし、新宿区では都庁前にある都民広場など数か所がヘブンアーティストの活動場所に指定され、さまざまなパフォーマンスをすることが可能です。
公式ページ
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/bunka/heavenartist/
2.無許可だが暗黙の了解やルールに従いライブする。
基本的に無許可でのストリートライブは違法で、さらに前述の通り許可は下りづらいのが現状です。そんな中でも、比較的ストリートライブに寛容な場所もあるのでご紹介します。
- 新宿南口
- 船橋駅
- 溝の口駅前
- 下北沢
- 上野駅
- 秋葉原駅
- 渋谷TSUTAYA前
これらの場所は、ストリートライブに寛容とはいえ、正式に許可されているわけではないので、基本的には前項で紹介した場所で登録・認定をもらいパフォーマンスをすることをおすすめします。
3 . 権利関係について
コピー曲を使用する場合、著作権などの問題が生じるのでは、と不安に思う方も多いのではないのでしょうか。この項目では、これらの権利関係について触れていきたいと思います。
JASRACの公式サイトでは、ストリートライブには演奏権が及ばないため、許諾を得るのは不要と記載されています。また、「演奏が営利目的でないこと」、「出演者に報酬が発生しないこと」、「入場料がかからないこと」が条件となりますが、コピー曲でも申請する必要はないとされています。
CDやライブチケットなどの販売などがある場合は、あくまでグレーゾーンですが、短時間の演奏での利用は免除とされる場合が多いようです。
参考
https://digireco.com/jasrac-interview2018/
4 . 必要機材
実際に路上でパフォーマンスする場合、「雑音」と「電源」の問題が出てきます。歌声や楽器の音を増幅させるためのアンプが必要になり、路上での電源の確保が難しいため、バッテリー駆動 or 電池駆動のものを選ぶ必要があります。
今回は、その中でオススメのアンプをご紹介します。
・ROLAND ( ローランド ) / Cube Street EX
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/193819/
路上アンプ=ROLANDのCUBEシリーズと言われるほど、よく見かけるアンプです。乾電池8本で最大50Wもの音量を出すことが可能で、入力できるチャンネルが4系統あることによりアンサンブルの幅も広げることができます。路上アンプ選びで迷った場合の第1候補として検討してみるのもいいかもしれません。
・Laney ( レイニー ) / A-FRESCO
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/231703/
英国ならではのスタイリッシュなデザインと、弾き語りライブするには必要十分な機能を抑えたアンプで、価格も3万円弱とお安めです。路上アンプに搭載されていることが多い傾けられる機能はありませんが、スタンドに乗せることができる穴が空いており、スタンド利用により音をより飛ばすことができます。
・ROLAND ( ローランド ) / AC-33
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/151750/
音質的に少々シャリつく部分はありますが、アルカリ電池8本で8時間もの演奏が可能で、音量も十分です。そして、内蔵されているエフェクターが充実しているという多機能アンプです。ルーパーが内蔵されているので、エフェクトを使った面白いアプローチもアンプのみでできるかもしれません。
まとめ
今回は、ストリートライブをする上で必要な情報をご紹介しました。このほかにもストリートライブを生配信することで拡散力を上げたり、ほかのストリートミュージシャンとセッションライブをしてみたりなど、可能性は無限に広がっています。
基本的なことを知り、ストリートライブに興味が湧いたら、次は行動してみても良いかもしれませんね。あなたの音楽活動の幅が広がることを願っています!