現在の日本では一部のアイドルなどを除いてCDが売れない時代と言われている。世界では「音楽を聴くための技術」が進化しており、インフラの変化によって音楽業界自体が変わりつつあるといえるだろう。
音楽業界にはどのような変化が起きているのか、日本を含めたアジアの音楽市場は現在どのような状態にあるのかを考察する。
プラットフォームの変化
2000年代に入って以降、日本では「ニコニコ動画」や「YouTube」という誰でも音楽を発信できるプラットフォームが大きく普及した。
その結果、「音楽の発信」に関してレコード会社やマネジメント会社との契約が必須ではなくなってきている。神聖かまってちゃんや米津玄師など、ネットからの発信でメジャーシーンまで上り詰めたアーティストも増えてきた。
ライブやグッズがアーティストの収益源
こういった背景のもと、メジャーのミュジーシャンにとっても、収益の生命線になっているのはライブによる興行収入やアーティストグッズの売り上げだ。
たとえば、ロックバンドのくるりは、ワンマンライブのアンコール前に、必ず本人たちによるグッズ紹介のコーナーを設けている。
そのほか、昨年テレビ番組の「アメトーーク!」で取り上げられたことが記憶に新しいBiSHも、メンバー本人たちがグッズ紹介する動画をYouTubeにアップしている。
日本人アーティストの海外進出
グローバル化が進む中、海外でライブを行う日本人アーティストも増え始めた。昨年、海外公演を開催したのは、Perfume・RADWIMPS・米津玄師・HYDE・ONE OK ROCK・Aimerなど。
そのほか、東京スカパラダイスオーケストラは、世界最大級の音楽フェスである「ロラパルーザ・チリ」に出演した。
アジアの音楽市場
IFPI(国際レコード連盟)が2019年春に発表したレポート「Global Music Report 2019」によると、アジアおよびオーストラリア地域は、前年と比較して物理とデジタルの合計で11.7%収益を伸ばしている。特に韓国は前年比17.9%のプラスとなっており、躍進がめざましい。
K-POPの日本進出
KARAの日本デビューが火付け役となり、K-POPは、日本でも大きなブームになった。しかし、そのブームは一時下火になり、多くのK-POPは日本から撤退した。
ところが、現在ではまたプロモーションが活発化しており、渋谷の街中では度々Twiceの宣伝カーを見かける。また、タワーレコードの渋谷店には、K-POPの専用フロアがあるほどだ。
韓国の音楽業界は、一度では折れないタフなメンタルを持っており、これが17.9%の売り上げ増という数字になって表れているといえるだろう。
アジアの音楽市場が世界で占める位置
先ほど紹介した「Global Music Report 2019」によると、音楽産業の市場規模は、日本が世界第2位、韓国が第6位、中国が第7位となっている(第1位=アメリカ)。
トップ10のうち3カ国をアジアの国が占めており、アジア圏は世界で2番目に大きいマーケットとなった。
K-POPが存在感を増していく
世界の音楽産業において、デジタルミュージックの売り上げシェアはすでに50%を超えており、サブスクリプションサービスの利用者は2億5500万人にまで増えてきた。
こうした中、サブスクリプションサービス大手のSpotifyは、レポートの中で「K-POPをアジア市場の中核と捉えている」と述べている。
今後もK-POPが世界の音楽シーンの中で存在感を増していく可能性はとても高いといえるだろう。